創作企画【世界に正義と絆の未来を】の小説です、キャラクターお借りしています
「どうも。」
「えっ」
「どうも。」
「は?」
なんでここにいんの?観ノ宮人子ちゃん
ここ、俺んち、教えてない
は?
「えっ?」
「おじゃましまーす」
ずかずかと入っちゃったよ、人子ちゃんちょっとまて
「片付いてるというか物あんまり置いてないんですね」
「なんで俺んちしってんの……」
「ピコの姿で公園整備の事務所に行ったらおじさんたちが教えてくれました」
「えぇ……」
ピコのヒーロー姿はヘソ出しにまあその大きめの胸が特徴あるのでデレデレして教えちゃったのかおっさんたちは……
「そんなわけで」
「えっ……あっはいなんでしょう」
「お風呂貸してください!!(パァン)(頼み込んで手を揃えて鳴らす音)」
「ええ~~!?なんで!今更?!は?」
「銭湯高いんですもん!大食らいだからカフェのバイト代でもキツキツなんですよお…」
あ~~うーん観ノ宮人子はヒーローになって誰からも忘れられ廃ビルに勝手に一人で住んでいる、お風呂か…さすがにないか…公園で水浴びするなんてこともできないしな……
「わかったよ使っていいよ…」
「本当ですか!ありがとうございます!タオルとかは持ってきましたので」
入る気マンマンじゃん……
お風呂場に案内しお湯の調節のしかたやシャワーの出し方などを教えてあげた、あとで入ろうとお湯を湯船にためておいたのが幸か不幸か人子ちゃんはすぐに入浴することとなった
あれ
ちょっとまて
ここ俺んちだからもちろん二人きり
風呂?
えっ?
えっ?しかいってないけどさ、やばくないかこの状況、17歳の女の子がお風呂貸してくれってなにこれ?押し掛け女房?
このあと俺も風呂入る流れ?いやいやいやそれはちょっと
「あ……あの~~観ノ宮人子さ~~ん……?」
と弱々しく声をかけてみたがもうシャワーの音にかきけされて聞こえないらしい
ですよね~~~~~~~!!そういう展開!!
まさかね、まさかね!まさかね!!!そんなね!!!!
そうだ!!!!!!!
ごはんを作ろう!!!!!!!
落ち着きを取り戻すために屋尾は料理を始めた
「久しぶりに一人でゆったりお風呂入りました!ありがとうございます」
お風呂上がりの乾ききってない髪の毛を揺らす人子は深々とお辞儀をした
「あ、ううん……全然いま晩御飯作ってるからさ、そこにあるドライヤーで髪の毛乾かして待ってて」
「屋尾さんドライヤー使うんですね」
「どういう意味?」
あれから屋尾は唐揚げを作ろうと揉み込むという行程で違う!そういう意味じゃない!と一人で悶絶しつつ唐揚げを作っていた
「家にあった量だから人子ちゃんには少ないかもしんないけど……唐揚げと白飯とあと欲しかったらうどんがあるよ」
「えっいいんですか……私お風呂に入りに来ただけなのにこんなに……」
「まーモンスター倒して公園整備も手伝って貰えてるし……」
「うどんもお願いします」
「思ったとおり容赦ないな……具がないから素うどんね」
食べてる最中考えてた
(この子食べたら帰るの?)
(泊まるの?)
「グフッッ」
「大丈夫ですか!」
「いやちょっとうどんに骨が」
「うどんに骨!?」
「違うな、忘れて……」
「いま唐揚げ食べてたのに!」
「忘れて……」
「はぁ……」
「ごちそうさまでした!」
「お粗末さまでした~…」
「食べまくったのでお皿は私が洗いますね!屋尾さんその間お風呂入ってもいいですよ!」
「あーうんそうする……わ………」
お風呂入るって言っちゃった……
人子ちゃん17歳やばくないか手玉にとられてないか?このまま突っ走っていかんいかんヒーローとはいえ未成年つーかそういう考えがダメだ!ぐるぐるぐるぐる
人子が浸かったお風呂に浸かっている……とかもうダメ今日俺だめそんな事態対応仕切れない
「屋尾さんお風呂上がりましたね~じゃあそろそろ私帰ります!」
「へ」
「?お皿は適当に洗ったし屋尾さんお風呂上がりましたし」
「夜なんだから女の子の一人歩きはあぶな~~……ンンンヒーローだったね……」
「ね!屋尾さんお風呂上がりだから夜風で風邪引いてもいけないから」
「………」
「…………」
「あーーー!!!!!!!もう!泊まってけよ!未成年で歩いてたらケーサツの方が面倒そうだ、うっかり殴れないし!なんもしないから泊まってけ!」
「なんかするつもりだったんですか」
眼を丸くする人子
「…………シナイヨ」
「……………まあ男性の部屋にお風呂入りに来る女の方が頭おかしいですよね……」
俺の自問自答悶絶の答えが出た
男の部屋にお風呂入りに来る女の方が頭おかしい
これが答えだったか
「ペアって恋人同士みたいなもんだと思ってたし」
「えっ!?そうなの!?」
「いや、違いますよ!現に屋尾さんと、そういう、関係じゃないし、、ヒーローの女の子の友達は女の子同士の、あっこれも同性愛とかではないですけど、いやまあ恋人同士ペアもいるけど相棒みたいなのが一番近いんじゃないですかね」
「相棒」
「わたしはミッチーの代が好きです」
「あんだけ長いシリーズで右京さんは定年こないのかね」
などなどヒーロー関連のはなしからとりとめのないはなしを長々と二人でしていた
なんだ男女の関係なく年の差あってもこんなに喋れるじゃん
「そういえば寝間着ある?」
「私ビルにいるときいつも寒くないようにわりと外着のまんま寝ちゃうから無いんですよ」
「じゃあTシャツとか貸すよ、ジャージのハーフパンツとか」
小声で人子の口から カレシャツ…… と聞こえた気がしたが枯れ?俺枯れてる?と思ったが無視した
「冬あそこで寝るのしんどいだろ、どーすんの」
「それなんですよね……昼間は図書館で寝て夜は動き回るかな……」
「ホームレスかよ」
「似たようなもんなんで……」
「布団用意したらウチくるか?死んだらどーす……」
また軽々しく言ってしまった……同居のお誘いじゃん……でもほんとに寒くて体調崩しても……
「なんか、屋尾さんのご厚意に甘えてよいやら……ペア組むときも今日も……ヒーローなってほとんどの時間1人だったからすぐ……甘えてしまって……」
「大丈夫だよ、俺も1人だったから、たぶん嬉しくて頭で考えるより口が動いてんだ」
「ほんとですか……私もそういって頂けて嬉しいです……じゃあ、寒くなったらお願いします」
「よしきた」
会社のおっさんたちにバレたらすんごい冷やかされそうだな
「わたしそろそろ眠くて……」
「あー布団つかっていいぞ」
「すみませんお先に失礼します」
そういえば公園の整備中見かけない花を見つけたので生態を調べたかったんだ、名前はおっさんに聞いたから検索すればヒットするだろうと人子の眠る和室にパソコンを使いに入った
カタカタといじっていると人子が何かをしゃべったようだった
「………」
「起こしたか?悪いな、ちょっと調べものが……」
寝ている人子から一筋の涙が流れた
「おかあさん………」
屋尾はハッとした、この子はヒーローになって色んなものを犠牲にして失ったものを新しく、似たようなものを取り戻してはいるが家族の記憶は返らないのだ
人子の手をぎゅっと握った
「俺はここにいるよ」
月の光がさす部屋での誰も知らない出来事だった