創作企画【世界に正義と絆の未来を】の小説です、キャラクターお借りしています
あぁ……あと3日……3日で私は
本当に消えてしまう
観ノ宮人子、17歳、学校なし、家族なし、ヒーローピコの正体
ヒーローピコがペアを見つけず消滅まであと3日
それもいいかな、なんて
どうせみんなに忘れられたので
忘れられたまま消えちゃうのもアリなんじゃない
なんて行き場を失った私は図書館で無駄に難しい本を読んでいる
モンスターが出ればそりゃやられるだけなんて嫌だしせっかくもらった力を使うために戦う
忘れられたままのはずなのに新しい人間関係ができた
「人子さん」
「楓!」
同じくヒーローの楓・ロビンソン、図書館にいるときに近くの公園が襲われたときに駆けつけたのがホワイトブレスこと楓だった、そこから仲良くなり私は楓に勉強を教えてあげたりすることになったのだ
「人子さん何を読んでらしたんです?」
「無駄に文章が難しくて読みづらい本よ」
「うふふ、人子さん好きそう。そうだ、サンドイッチ持ってきたのであとで食べましょう!」
「ありがとう」
私は大食いのわりにヒーローになってから食いぶちを探すのに苦労していて手伝わせて貰ってるカフェでなんとか食いつないでいる、あと公園の野草とか
丈夫なお腹で一安心
「人子さん!それで記者さまったらね!」
「あなた本当に記者さん好きね……(もぐもぐ)」
「私を消滅から救ってくださった方ですもの!人子さんにも早く見つかってほしいです……」
「私は人脈がほぼないからなあ(もぐもぐ)そのまま消えてしまうかも」
「えー!嫌です!人子ひゃんきえるのいやでひゅ……ぐすん」
「泣かないでよ!嬉しいけどさ!もー」
「人子ひゃん消えたら誰が毎週の歴史の小テストの復習おしえてくりぇりゅんですかぁ……これも神様のお導き……」
「勝手に完結しないで」
「えへへ」
ピーンポーンパーンポーン
図書館閉館のお時間です。貸し出しを利用される方は混雑しますので……
「そろそろ帰る時間ね」
「今日もありがとうございました人子さん」
「こちらこそサンドイッチありがとう、またね」
そういって人子と楓は図書館をあとにした
楓はそのまま帰ったようだが人子は公園の池を見ていた
私を消滅から救ってくださった方、かあ
楓、消滅を少し受け入れてたけどやっぱり絆で生きられるの嬉しいよね
私は、どうなんだろう
「ん?」
公園の大きな池からどんどん泡が吹き出してきた
そして
水の中から飛び出してきたのは
「グォオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!」
「モンスター!!!」
周囲には誰もいない、変身!
人子からピコへと変身した!
まずは勢いをつけてモンスターの胴体に一蹴り!するとモンスターに吹き飛ばされて花壇に落とされ転がり落ちたピコ
「くっ……」
「おい!」
「へ?」
「そこ花壇だから別の場所に落っこちてくれよ!!!」
公園の整備員とおぼしき男性に呆気にとられるピコ
「モンスターが池から出るとか勘弁してくれよ~……整備してるこっちの身にもなれってんだ」
「あぶない!」
男性の後ろに忍び寄るモンスターを飛び出して蹴り飛ばすピコ
「はぁ……はぁ……」
公園の芝生に大の字で寝転んでいるピコ
倒せた……大きかったけど1人でも、できるんだ
楓は帰るの反対方向だっけ
記者さまがね……!
楓は大丈夫、もう1人じゃない、あの子は大丈夫
じゃあ
わたしは?
「おーい」
「……ンンンンン」
センチメンタルな雰囲気を壊すさっき聞いた声
「花壇のことは仕方ねーけど公園守ってくれてありがとな、ほれ、コーラ、、、コーヒーの方がすきか?」
「わたし、モンスター倒してありがとうなんて言われたことないかも」
「はー?無作法な連中だな」
「いや、たぶん人気のないところで戦ってたからかもですけど、うん、初めてだ」
仰向けで大の字に寝るピコは隠れていない右目もとを右手で隠した
「ヒーローに消滅しかけてるのに初めてありがとうって言われて泣きそうなの、ばっかみたい」
「…………消滅しそうなのか?」
「家族旅行でモンスターに襲われて助かろうとヒーローになって家族助けたらわたしのことなんてさっぱり覚えてなくて拍子抜けしましたよ、わたしなんのために戦ったのって」
「でももうお母さんとお父さん、きょうだいたちが生きてくれてるだけでいいと思った」
「学校で親友だった子にも先生にも忘れられてた、教室いった瞬間誰あの子って目で見られて急いで家に帰って誰もいないすきに服とか荷物まとめて近所の廃ビルに逃げ込んだ」
「放置されてたソファーがふわふわしてて余計悲しくなって眠るまで泣き続けた」
「これでよかった、だって家族は助かった」
でも、わたしは?わたしのこころは助かった?
右手で隠しきれないほど泣きじゃくってしまったピコ、いまは両手で顔を隠している
公園の整備員がいることにはっと気付いた
「全部独り言です、忘れてください」
「目の前で女の子が泣きながら独白してて忘れられるかよ……」
「すみません……えっと」
「屋尾だよ、屋尾想慈、あと、謝らなくていい、自分が消えるの楽しみに笑ってるやつの方がおかしいだろ」
「ありがとうございます……屋尾さん、コーラの方が好きです」
「ん、ほれ」
夕暮れが夕闇になりそうな頃
「なぁ」
「?」
「俺が絆の相手になってやろうか」
「は!?」
飛び上がり身体を屋尾の方へ向けるピコ
「見てましたよね?聞いてましたよね?危ないんですよ?」
「いや、俺も、1人だからさ、この仕事もほとんど1人、帰っても1人」
「でも軽率すぎますよ、会って」
「そんなにも経ってないのに?でもあと3日なんだろ?」
そうだけど…と小さくこぼすピコ
「家族なくすってさ、お前は家族生きてるけど忘れられて全員いなくなったかもしれんから比べようないかもだけどさ、俺にも色々あって、さ」
「ほんとに?ほんとにいいの?」
知性的な人子ではなく、欲しいものを買ってくれるのかという子供のような聞き方だった
「いいよ、お前に賭けてやる」
「う、うわぁぁああんぁああ……」
屋尾の胸で嬉しさと驚きと安心感と、色々な思いでピコは泣き叫んだ
「おー…もう1人じゃないぞ、お互いにな!ラーメンでも食いに行こうな!」
「チャーシューメン卵抜き~~」
「お前容赦ないな……」
「百舌~!一番さんに醤油バターと味噌~~!」
「あいよーっ!」
「替え玉お願いしまーす!」
「お前容赦ないな………」